ありのままの自分を受け入れること
こころメンテナンス・インストラクターの吉村竜児です。
今日はぼく自身の抱えているちょっとした障害について
書いてみようと思います。
実際にどこかで診断してもらった訳でもないし、
ちょっとしたと自分で言っているぐらいなので、
かなり軽度のものなのですが、ぼくの人生には
けっこう大きな影響がありました。
で、それはいったい何かというと、
「ディスレクシア」という一種の学習障害で、
知的には問題はないけど、読み書きが出来なかったり
困難だったりという症状があります。
失読症とか呼ばれたりすることもあります。
俳優のトム・クルーズや、映画監督のスティーブン・
スピルバーグがカミングアウトしたことで、最近は
世の中にもけっこう知られるようになってきています。
ぼくの場合は読み書きがまったく出来ないわけでは
ないので、この人たちよりはだいぶマシなのですが、
けっこう困ることはよくあります。
まず、一番大変だったのは、子供の頃に学校の教科書を
読んでもほとんど意味が分からなかったことです。
小説や漫画のように登場人物が出てきて
ストーリー仕立てになっている物は理解できるのですが、
教科書のように事実が書き並べてある物を読んでも
内容がまったく頭に入ってきませんでした。
なので、教科書を読んでの予習復習やテスト勉強は
まったく出来ませんでした。
そのかわり、一度聴いたことはほとんど忘れなかったので、
授業中の先生の話をまる覚えする事で、テストでは
そこそこの点数が取れました。
漢字も読むことは出来るのですが、書く方はぜんぜんです^^;
明らかに知っている字でも、画数が多くなってくると
だんだん出てこなくなってきます。
なので、ぼくがこうやってブログを書いたりすることが
できるようになったのもローマ字変換のおかげなんです。
そんなだったから、高校からアメリカに留学する話が
持ち上がった時にもほとんど即決でした。
「やった!漢字から解放される!」
と声に出しては言いませんでしたが、
その思いはかなり大きかったです^^;
まぁ、そのぐらい漢字はぼくにとっては大変で
わけがわからないものだったのです。
というのも、ものすごいがんばって時間をかけて
漢字の書き取りをすれば、一時的には覚えられて
テストでも点が取れるのですが、一度覚えたはずの字でも
しばらくするともう出てこなくなってしまいます。
なので、とてもモチベーションをキープすることが
出来ませんでした。
アメリカに留学した時も、周りの留学生たちと比べても
かなりのスピードで英語が話せるようになって、
小説なんかも読めるようになったのですが、
それ以外の本はいくら読んでも内容が頭に入ってきませんでした。
なので、実を言うとぼくは大学を卒業するまで
ほとんど教科書を読んだことがありませんでした。
読んでいるふりだけして、後は授業中の記憶を元に
テストでは合格点を取っていました。
アメリカの大学はレポートを提出することが多いのですが、
作文は「主語+動詞+~~」というように数学的に捉えて
パズルを完成させていくような方法で書いていました。
大変ではありましたが、その頃のトレーニングのおかげで、
日本語でも作文ができるようになりました。
今こうやってブログを書くことが出来ているのも、
当時の訓練のたまものです^^;
今では、小説以外の本を読む時は頭の中で音読することで、
一回音に変換して理解するという方法で読むことが出来るように
なりましたが、けっこう時間がかかって大変です。
書くことに関しては、ローマ字変換のおかげでなんとか出来ますが、
手書きはまったくダメです。
まず、自分で書いたものを後で読んでも、
ほとんど判別できません。
活字はけっこう読めるのですが、手書きの字はけっこう難しいです。
ぼくの字が汚いというのもあるのですが、
他の人が書いたものでも、ちょっと崩れた字になってくると、
読むのがだんだん難しくなってきます。
なので、書くのが苦手な自分が書いたものを、
読むのが苦手なぼくが見るので、もうなんだかわかりません^^;
若い頃にバイトをしていた時も、上司から指示されたことを
メモを取るようにと言われていましたが、メモを取っている
ふりだけして、聴いて覚えていることがほとんどでした。
今はスマホのおかげでメモも取りやすいし、
アプリでスケジュール管理もできるので非常に助かっています。
でも、文字を書く時にけっこう困るのが、ぼくの場合は
文字の順番が良く入れ替わってしまうことです。
これはキーボードやスマホのフリック入力でもたまに
出てしまいますが、手書きの時はとくにひどいです。
例えば「さくら」と書きたい時に、最初に書く文字は
「さ」のはずなのに、手が勝手に「ら」を先に書いてしまって、
わけがわからなくなってしまうことがあります。
漢字の場合はそれがパーツ単位で起こってしまうので、
余計にわけがわからなくなります^^;
とまぁ、ただの苦労話みたいになってしまいましたが、
こういった症状を抱えていたことで一番大変だったことは、
実はそれ自体ではなくて、それを隠して生きていることの方でした。
周りのみんなが苦もなく出来ているように見えることが
自分にはうまく出来ない、ということが受け入れられなかったり、
劣っていると思われたくないという不安があったり、
そんなこんなで、一生懸命にがんばって普通のふりをしたり、
「本当は出来るけど面倒くさいからやらないんだ」
みたいなふりをしたりで、本当に大変でした^^;
実際、気をつけないと「やれば出来るのに怠けている」という
目で見られてしまうこともけっこうあったので、わざわざ
「おれは反抗してるんだ!」
「怠けているのでも、出来ないのでもなく、やらないんだ!」
みたいなふりまでする事も多々ありました。
振り返ってみると、かなり気の毒な若者です^^;
とはいえ、けっこう最近まで自分は何か劣っているところが
あるみたいだという、劣等感は持っていたと思います。
もう何年前だったか忘れてしまいましたが、
トム・クルーズがディスレクシアをカミングアウトした
というニュースを見た時に、
「あ、もしかしてぼくこれかも…」
と、思った事がきっかけで、少しずつ劣等感を手放し
始めました。
まぁ、実際に診断を受けたわけではないので、
どの程度なのかはよくわかりませんが、
先日テレビでディスレクシアを取り扱った番組を見る
機会があって、その中の再現ドラマで紹介されていた人が
やっていたことや、考えていたことがほとんど
昔の自分とそっくりだったので、
「ありゃりゃ、こりゃ間違いないや」
と思って、最近では周りの人たちにも
ちょこちょこカミングアウトするようにし始めたところです^^
なにはともあれ、自分にそういう特徴があることは事実ですが、
別にそれは良いことでも悪いことでもないんですよね。
確かに不便なことはいろいろあります。
書類に名前と住所を書くだけでもえらい苦労です^^;
でも、そのかわりに聴いたことはだいたいすぐに理解できるので、
習い事などでは便利なこともたくさんあります。
ぼくにはたまたまそういう特徴がある。
それ以上でもそれ以下でもなく、ただそれだけ。
そういう特徴があるぼくが楽しく快適で幸せに生きるには、
ちょっとした工夫がいることもあるかもしれないし、
近くの人たちに助けてもらうこともあるかもしれないけど、
そのことも含めて人生を楽しんでいこうと思っています^^
とりあえず、周りの人たちにカミングアウトしたら
ぼく自身はすごく楽になりましたよ♪